ご社宝めぐり

目黒区
中目黒八幡神社
手水鉢
 末社三峰神社へ向かう参道の途中にある手水鉢には「文政十丁亥歳九月十八日」と奉献日が刻まれている。文政十年は江戸時代の1827年。幾度かの火災で古い資料が焼失しているため、神社の創建や由来などに不明な点が多いが、この手水鉢や『新編武蔵風土記稿』や当時の『村指出銘細帳』の記録により、江戸中期には氏子から篤い崇敬を受けていたことが分かる証左となっている。
 手水鉢に使われている小松石は日本の石材としては最も古い歴史を持つ。江戸城の石垣にも使われており耐久性に優れた石だが、近年は採石量が減って大変貴重なものとなっている。現在は保護のため手水鉢としては使用していない。
中目黒八幡神社について
 創建年月日不詳。幾度か火災に遭い資料に乏しいものの、江戸時代の宝暦13年(1763)や弘化2年(1845)の『村指出銘細帳』、あるいは文化・文政年間の『新編武蔵風土記稿』には「中目黒村惣(総)鎮守」として9月18日に祭礼が行われること、また、その際に十二座の神楽を奏すことが記載されている。現在の社殿は昭和11年9月に造営されたものである。
【鎮座地】東京都目黒区中目黒3-10-5
(令和5年3月寄稿)