板橋区
熊野神社
区登録文化財
庚申塔
前野町の熊野神社境内には、五基の庚申塔が整然と立てられている。造立年代を見ると「享保」年間から「天明」年間までで、およそ80年の間に石塔が相次いで立てられたことになる。全ての石塔の正面には「青面金剛」像、「邪鬼」(あまのじゃく)、「三猿」が陽刻、形状は駒形、材質は安山岩、そして高さも70センチ前後で、ほぼ同系の石塔といわざるを得ない。造立者には、小泉、吉田、鈴木、高橋などいずれも当地の旧家の姓が刻まれ、江戸道、川越道、戸田道など道の名も付されているので、道標を兼ね備えた庚申塔である。神社付近には「中山道」「川越道」へつなぐ古道があり、その路傍に造立されていたものが、後年の区画整理や道路改修などによって神社へ移設された。板橋区ではこれらの庚申塔全てを登録文化財としている。
熊野神社について
創建年代は不祥だが、中世末期頃に紀伊国熊野那智大社より勧請されたと伝えられる。旧前野村の鎮守として崇敬され、当村には熊野社が二社あり、東方に鎮座する当社は東熊野と呼ばれた。徳川氏開府以来、前野熊野山常楽院(法印常明氏)が別当として社務を執行していた時期もあった。明治2年の「社寺取調」によると前野村三社の内の一社で、江戸時代の寛文2年(1662)の「御水帳」に祭神は天神七代・地神五代と記載されている。
【鎮座地】東京都板橋区前野町3-38-3
(平成22年11月寄稿)
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