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神社Q&A
神社と神道について、皆さまのご質問にお答えしています。

出張祭典

地鎮祭(じちんさい)とは何ですか
 建物を建てるときに先立ち、基礎工事に着手する前に、その土地をお守りいただいている神さまをお迎えして、工事の安全と守護を祈念する祭儀を「地鎮祭」といいます。地鎮祭を「とこしずめのまつり」と訓読みにしたり、「地祭(じまつり)」ともいいます。
 祭場は、一般的に土地の中央を使用し、清浄な場所を示すための斎竹(いみだけ)(葉の付いた青竹)を四隅に立て注連縄(しめなわ)を張ります。その中央に神籬(ひもろぎ)(榊に麻と紙垂をつけたもの)を立て、神さまの依代(よりしろ)(神さまの降りられる所)とします。
 祭儀は、まず修祓(しゅばつ)のあとに降神(こうしん)(神さまをお招きする)を行い、次に神饌(しんせん)が供えられて、神職が祝詞を奏上します。そして散供(さんく)(米を打ち撒(ま)いたり、供えたりすること)を行い、苅初(かりぞめ)・穿初(うがちぞめ)(初めて鎌・鍬を入れること)と続き、鎮物(しずめもの)を埋納(省略することあり)します。このあとに玉串拝礼、撤饌(てっせん)(神饌をおさげする)、昇神(しょうしん)(神さまをお送りする)が行われて終了します。

地鎮祭はどこに頼めばいいのでしょう
 地鎮祭は、その土地の氏神さまにお願いするのが普通です。氏神さまにあたる神社がわからないときは、その土地に前からすんでいる人に尋ねてみるのが良いでしょう。あるいは、電話帳で「神社」のページから同じ町・村・市・郡で探す方法もあります。
 残念なことに最近都市部で、地鎮祭の準備から祭典まで全てを請け負う「地鎮祭専門業者」なるものが出現し、一部の住宅メーカーは地鎮祭の準備がわずらわしいため、このような業者に任せてしまう例が出てきました。法律上ではなんら問題はないのですが、やはりきちんとした神社に行ってもらうのが良いでしょう。一概には言えませんが、普通の神社は「神社本庁」という団体に属していますので、属しているかいないかがひとつの目安になります。

地鎮祭の司会を頼まれたのですが、どうすればよいのでしょうか
 地鎮祭で司会の方が付くのは、大変大規模な地鎮祭と思います。進行係や司会のことをお祭り役名で「典儀(てんぎ)」と呼びます。大変重要な役ですので、神主さんと充分な打合せを行ってください。

上棟祭(じょうとうさい)とは何のお祭りですか
 家の柱立てを終えて、棟木(むなぎ)を上げるにあたり、工事安全と建物の堅固長久を祈念する祭儀を「上棟祭」あるいは「棟上(むねあ)げ」といいます。
 中央の柱に御神名、(屋船久久遅命(やふねくくちのみこと)・屋船豊宇気姫命(やふねとようけひめのみこと)・手直帆負命(たおきほおいのみこと)・彦狭知命(ひこさしりのみこと)・土産神(うぶすながみ)など)を記した棟札(むねふだ)をつけ、屋上と屋下に祭場が設けられて、神籬(ひもろぎ)が立てられます。そしてさらに棟木には、魔除(まよけ)のための上棟幣(じょうとうへい)と作り物の弓矢、扇などが飾られます。
 祭儀は、まず修祓(しゅばつ)のあとに降神(こうしん)を行い、次に神饌(しんせん)が供えられて、神職(しんしょく)が祝詞(のりと)を奏上します。そして曳綱(ひきつな)(棟木を棟に上げること)、槌打(つちうち)(棟木を棟に打ち固めること)と続き、災いを祓(はら)うために散餅銭(さんぺいせん)(餅や銭を撒(ま)くこと)を行います。このあとに玉串(たまくし)を奉りて拝礼、撤饌(てっせん)、昇神(しょうしん)が行われます。しかし、一般的には略儀として、棟木を上げた後に、その下に祭場を設け、修祓・降神・献饌・祝詞奏上・棟木に切麻を散じ、玉串を奉りて拝礼・撒撰・昇神を行います。
 祭儀終了後には、工事関係者に御祝儀を配ったり、近所の人々に対して餅撒きをする地方もあります。

上棟祭の棟札(むねふだ)の書き方を教えてください
 工事の後世の記念となる札です。 上棟祭で清め、棟本に打ち付けます。棟札の書き方は、いろいろありますが、一例をあげると次のとおりです。
奉鎮祭
御神名として、土産神(うぶすながみ)・屋船久久遅命(やふねくくちのみこと)・屋船豊宇気姫命(やふねとようけひめのみこと)・手直帆負命(たおきほおいのみこと)・彦狭知命(ひこさしりのみこと)や工事名を記します。また、上棟祭の期日、建主、施工主名も記します。

竣工祭(しゅんこうさい)の意味について教えてください
 建物が完成し入居するにあたり、無事完成したことを神さまに感謝して、新築された建物の堅固長久と、そこに住む人々の繁栄を祈念する祭儀を「竣工祭」あるいは「新室祭(にいむろさい)」「神殿祭(しんでんさい)」ともいいます。祭場は、一般的に建物の中心となる部屋に設けられます。 このお祭りは、本来神籬(ひもろぎ)を設けず神饌(しんせん)も奉らず、その代わり部屋の四隅に御富伎玉(みほぎたま)を掛け、散供(さんく)し、巽(東南)の方に向けて微音で祝詞を奏上するという特殊なものでしたが、これは建物そのものが神籬で神さまが宿ると考えられたからです。しかし最近は他のお祭りと同じように、神籬を設けて神饌をお供えすることも多く行われています。